EPのタイトルとなっている「Strawlight」とは、赤色に輝く6月の満月 から着想を得た言葉で、 「strawberry」と「light」を組み合わせたTok10の造語である。2023年6月、strawberry moonの到来を心待ちにしていたTok10は天候のせいでstrawberry moonを見ることができなかった。雲間から漏れ出る月光を虚しく眺める一方で、彼はSNSの反応などを通じて自分と同じような気持ちで空を見上げていた多くの人の存在を実感する。直接的に目にすることはできないが、そこにあるはずの「美しいもの」の存在を頑なに信じ、わずかな希望を胸に見えないものを追い求めようとする人々の気持ちが生み出す、人類としての「共同性」。ラブソングの名手として知られるTok10の描く世界には、恋愛的心情描写の下に、自然から切り離された人類共通の哀しさ、遙かなる自身への郷愁といった世界観が通想低音のように流れている。自身のラップを「生き物としての心臓の鼓動(リズム)+人間を人間足らしめている言語(ことば)」のコラボによる複合的な表現と定義するTok10のrhyme(韻)は、偶然の出会いを持った言葉が生み出すrhythm(リズム)の海ともつながる。天空から届けられた「Strawlight」を通して、聴き手はTok10の描き出す「宇宙遊泳」へと誘われるのである。
◉Track Listing
1: Strawlight(ストローライト): EPタイトルともなっている「Strawlight」。見えないものを追い求めるが簡単には手に入らない人類の悲しさと手を伸ばすことの美しさが同時に描かれている作品。
2: Broken 0(ブロークン・ゼロ): 「Broken 〇」の「O」とは地球のことである。大切なものを見ようとしない人類から見捨てられ、壊れゆく地球。リリックに登場する「僕」と「きみ」の物語は、「蜜月」が終わった恋人同士の物語のようにも、これから死にゆく「地球」と「人類」の物語のようにも解釈可能である。
3: 黄昏れる君と笑う私 : Tok10の作るリリックが、まずは「韻」という縛りの中から生まれているということが最もわかりやすく理解できる作品。「あの頃のように(i)怒って欲しい(i) 愛情を僕に(i) You mad at me (i) 君の隣 (i) 僕がいた日(i) 忘れられない(i) 泣いたんだ あの日の帰り(i) 僕は確かに(i) 触れられない(i) シザーハンズ」のようにほぼ全て「i」で韻を踏んでいることが音声化してみればわかる。美しく冷たい月光の下踊るように生きる人類たちを俯瞰して眺める月のカケラがこぼれ落ちてきそうな一曲。
4: 嘘月: 「嘘」をつくのは人間だけではない。「月」もまたその姿を夜毎変えていく。ありきたりの価値観で世界を見るのではなく、物事の本質を見つめて欲しい「僕」の思いが「月」へと重なる。
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